近年、ヨーロッパの若者のあいだで広がっている「ボートハウス」に住む暮らし。
居住型の船であるボートハウスは、高層マンションの一室のように豪華な内装のものから、最低限のライフラインのみを揃えたシンプルなものまであるので、人それぞれの理想の暮らしを実現できる住まいの形と言えます。
芦屋市の新築戸建てをお考えの方も、ボートハウスを手に入れて近くのハーバーなどで生活することも夢じゃないかもしれません。
そこで今回は、ボートハウスの需要が高まっている背景や、ボートハウスでの暮らしのメリットや様子などをご紹介します。
他にもボートハウスが日本の法律上ではどうなっているのか、また値段についてなども紹介していますので、ボートハウスで暮らしてみたいとお考えの方は、ぜひ本記事をご参考になさってください。
ボートハウスの需要

まず、ボートハウスの概要と需要についてご紹介します。
ボートハウスとは、一般的な家と同等のライフラインを備えており、エンジンを搭載して自力で航行することができる船の住まいを指します。
海外では「ハウスボート」とも呼ばれていて、主にヨーロッパの運河でボートハウスに住んで暮らしている人が多くいます。
オランダでは、370年前の1652年にはボートハウスが運河にあったことが記録されており、現在も約1万世帯が暮らしている、意外と身近で歴史のある暮らし方なのですよ。
しかし近年のヨーロッパで、ボートハウスの需要がとくに高まっている層は、経済的に不安定な若者です。
たとえば、住宅価格が高騰しているロンドンでは、賃貸物件を借りるよりも、ボートハウスをローンで購入するほうが月々の出費を抑えることができるため、ボートハウスを購入する若者が増えているのです。
タイニーハウス・ムーブメントとは?
ヨーロッパの若者が、ボートハウスでの暮らしを選択する背景には何があるのでしょうか。
それはすでに少し触れたとおり、住宅価格の高騰が大きく影響しており、その原点となるのは2008年に起きた世界規模の金融危機「リーマン・ショック」に遡ります。
また、リーマン・ショックが起きたことで、「タイニーハウス・ムーブメント」という動きが生まれました。
タイニーハウス・ムーブメントとは、これまでの価値観を見直し、自分にとって必要最低限の物だけを所有して、ローンを組まない小規模な家に住むという動きです。
そうした価値観を持つ人にとって、最低限のライフラインを備えたボートハウスに住むことは選択肢の一つとなりました。
ボートハウスは、オランダの人のように水上で優雅に日常生活を送る住まいとなる一方で、小さくても豊かな暮らしを送りたい人にとってのコンパクトな住まいにもなるという、幅広い可能性をもつ家と言えますね。
ボートハウス暮らしのメリット
では、ボートハウスで暮らすメリットとは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
代表的なメリットは次の3点です。
- 家賃や電気代を抑えることができる
- 土地に縛られないため移動性が高い
- ボートハウスで暮らす人同士のコミュニティを築きやすい
家賃が抑えられることは前述のとおりです。
電気代については、船にはソーラーパネルが設定されていることが多いため、晴れていれば発電することができ、その分電気代を抑えることができるのです。
また、移動性が高いため、旅をするように暮らすこともできます。
ただし、停泊して良い場所については地域ごとに確認しなければならない点に注意しましょう。
さらに、海外ではボートハウスで暮らしている人がコミュニティを形成しているケースがあり、海外でボートハウス暮らしをする場合は気の合う方との関係構築を期待できるでしょう。
ボートハウスの室内はどんな感じ?

メリットがわかると、ボートハウスの内装なども気になるのではないでしょうか。
ボートハウスの内装は、一般的な家と同じように住む方の個性や価値観が現れるため、実に多様です。
ここでは内装の例を2つご紹介しますので、ご自身がどのようなボートハウスに住みたいか、考えるヒントになれば幸いです。
白を基調としたモダンな空間
大型のキャンピングカーのような設備を備えており、シンプルでモダンなデザインのボートハウスがあります。
キッチンリビングの先がウッドデッキになっているタイプなら、晴れた日はできたての食事をウッドデッキで食べるのがおすすめです。
水上にあるとは思えないほど設備が充実した空間
ボートハウスの購入にお金をかけられる方は、設備を充実させることで、より住み心地の良い住まいにすることも可能です。
たとえば、大きな窓を設けることで、明るく開放的で室内からでも雄大な景色を楽しむことができます。
まるで、マンションから景色を眺めているような優雅な感覚を、水上で味わうことができるでしょう。
日本にもボートハウスで暮らしている人が!?
ここまで、ボートハウスに住む方は海外に多いとご説明しましたが、実は日本にもボートハウスで暮らしている方がいます。
最後に、日本で唯一ボートハウスを所有し自宅としている、北原照久さんの暮らしをご紹介します。
北原さんは、おもちゃコレクターとして世界的に有名な方です。
30代で現在お住まいのボートハウスに出会い、手に入れるまでなんと約20年かかったとのこと。
屋外にはヨットなどが停まれる停泊場やプールがあり、屋内にはこだわりのアンティーク家具を揃えていて、まさに大人の憧れが詰まったようなボートハウスです。
ボートハウスの購入にはそれなりに多額の費用が必要です。
ボートハウスを購入しようと検討している方は後悔のないように、北原さんのようにじっくりと時間をかけて、ご自身の理想が叶うボートハウスを探してみたり、内装などのイメージを膨らませてみるのもよいでしょう。
ボートハウスは日本の法律上どうなのか?
ボートハウスでの生活を考える上で、法律上の問題がないか気になりますよね。
「ボートハウス生活=住民票登録」と考えている場合は、残念ながら現在の日本では認められません。
自分が所有する係留地に停泊させた船であっても、住民票を取ることはできないのが現状です。
しかし、ボートハウスという船を所有し、船を移動しながら暮らすことは可能です。
係留が許可されたマリーナなどで、船内に寝泊まりしながら移動して暮らすなら、何も問題ありません。
海外では当たり前になっているボートハウス暮らしですが、日本で本格的な住居として暮らすことは難しいでしょう。
実現性は低いと思いますが、正当な権利であると主張する裁判をすれば、船を住居と見なす判決が出るかもしれません。
ボートハウスの値段は?
実際にボートハウスを購入するとしたら、いくらぐらいするのか気になる方もいるのではないでしょうか?
ボートハウスの価格を調査しましたが、日本でボートハウスを購入したという例がかなり少ないため、ここでは海外の例を取り上げたいと思います。
サンフランシスコのベイエリアに住む夫妻は、価格約30万ドル(約3,300万円)のフィッシングボートで暮らしています。
家らしくなるようリフォームしたようなので、プラス数万ドルは費用がかかったとみられます。
2人は、ベイエリアのマリーナでの居住申請をし、ボート探しのために200以上のボートを見たとのこと。
広さは900平方フィート(約84平方メートル)と、二人暮らし+ペット一匹には十分な広さがあったようです。
船内はすっきりとしたリビングや落ち着ける主寝室、ゲスト用のベッドルームまであります。
シャワーやキッチンに使える水は、脱塩タンクから供給されるようになっています。
汚水タンクを月1回は空にしたり、ボートの外側を3時間かけて洗うなど、メンテナンス作業は大変なようです。
しかし、この夫婦にとっては「その価値がある」暮らしなのだそうです。
あなたはどう感じますか?
ボート付きの別荘はある?
別荘と一緒にボートも手に入れば、海に住むような感覚で暮らせそうですね。
ボート付きの別荘はありますが、数はかなり少ないようです。
2022年11月現在では、三重県の海岸に面して建つ別荘(価格1,500万円)や、静岡県の浜名湖に面した立地にボート付き別荘(賃料18万円)がありました。
どちらも、2名ぐらいが乗れそうな大きさのボートが付いています。
海に面している別荘とあって、開放感抜群の眺めが堪能できます。
海直結の別荘生活で、ボートに揺られる贅沢な生活を体験してみてはいかがでしょうか?
ちなみにボートは付いていませんが、海が目の前で「係留権付」「浮桟橋付」といった条件の別荘もあります。
検討の余地はありそうですね。
まとめ
今回は、ボートハウスでの暮らしについてご紹介しました。
小さな暮らしを求める方と、優雅な暮らしを求める方の両方から注目されるボートハウスの魅力とは、ボートハウスで暮らすことで心が豊かになることだと言えます。
ボートハウスのグレードは幅広いため、ご自身の理想の暮らしに照らし合わせながら調べてみるとよいでしょう。
帰る場所、落ち着ける場所は人それぞれ。